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2011.03.31

カントリーロード


小学校2年生の頃、裏山を散歩していた時、生まれて間もないであろう小さな雌の子猫を拾った。

なぜあんな場所に一人ぼっちで放置されていたのかは分からないけれど、今にも消えそうな小さな声でミーミー鳴き、俺に自分の場所を知らせてきた。

この子猫を絶対助けてやりたい。

そして芸を仕込んで一儲けしたい。

そう思った。

家に子猫を連れて帰り、小さなベッドを作ってあげて、牛乳をスポイトであげてみる。

全然飲まない。

父親に電話で、なぜ牛乳を飲まないのか聞いてみると

「赤ちゃん猫には濃いのかもしれない。俺が子猫用のミルクを買って帰るから待っとけ」

とのことだったので、父親が帰ってくるのをただ待った。

父親が子猫用のミルクを買って帰って来ると、お礼も言わずにすぐにミルクをあげた。

今度は少しずつ飲んでいた。

安心した俺はこの子猫に「グリ」と名前を付けた。

なぜグリと名付けたのかは詳しく覚えてないけれど、グリは最高に可愛い黒猫だった。

まだ目も開いてない20cmくらいの小さなグリは、母乳を貰ってないせいか元気がなく、小さなベッドの上でミーミー鳴きながら、寝返りをうつ程度しか動かなかった。

その日から学校が終わると大急ぎで家に帰る毎日が始まった。

帰るやいなや、グリのいる部屋へ飛んで行き、ミルクをあげた。

グリはいつも少ししかミルクを飲まない。

「これじゃ大きくなれんよグリ」とか声かけながら少しずつのミルクを根気よくあげ続けた。

飼っていた犬が幼稚園の時に死んでしまって以来、ペットを飼わせて貰えなかった俺は、グリと一緒にいれることがとても幸せだった。

寝る間際までころころと動くグリを眺めて過ごした。

そして、グリが家に来てから7日目の朝

グリは死んでしまった。

信じられなかった。

だからちゃんとミルク飲めって言ったのに。

冷たくなった小さなグリを撫でながら、俺は泣いた。

大きくなったグリと遊ぶこととか毎日想像してただけに、つらかった。

多分大声で30分くらいぎゃーぎゃー泣いていたと思う。

でも親は叱らなかった。

ひとしきり泣いた後、父親から「笑顔で天国へ送ってあげよう」と言われたので、タオルを敷き詰めた空き箱にグリを入れ、裏山へ埋めに行った。

最後のお別れを言う時に少しだけまた泣いてしまったけれど、もう泣かないと自分に言い聞かせ、学校へ行くことにした。

ありがとうグリ、またいつか天国で。

ふっ切れたつもりでも学校はつらかった。

どうしてもグリのことを思い出してしまった。

それでも何とか泣かずに午前中は頑張った。

しかし、その日の午後に体育館で発表された運動会の学年発表演目が「黒ネコのタンゴ」のダンスだった。

この曲が体育館に響いた時、俺はグリを思い出し、気が狂ったように泣いた。(何でよりによって今日こんな曲を聴かせるんかバカが)と思った。

そして気が狂ったと思われた俺は一人だけ体育館から連れ出され、早退させられた。


っていう話。



おしまい
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